歓喜の歌

L.v.ベートーヴェン / Arr. Riku Fujita

Level-2 ★★☆☆☆

動画

演奏+TAB付きスロー練習

楽譜

収録されている楽譜集

この曲について

ベートーヴェン最後の交響曲《第九》

《歓喜の歌》は、ベートーヴェンの交響曲第9番 ニ短調 Op.125の第4楽章に登場する、世界的に知られた旋律です。

日本では年末の「第九」の演奏でもおなじみですが、交響曲第9番そのものが、クラシック音楽の歴史の中でも特別な位置を占める作品です。1824年に完成し、同年5月7日にウィーンで初演されたこの曲は、ベートーヴェンが完成させた最後の交響曲となりました。

そして何より画期的だったのが、最終楽章に独唱者と大規模な合唱を取り入れたことです。それまで基本的に器楽によって作られてきた「交響曲」というジャンルの中に人間の声を大きく導入し、後の作曲家たちにも非常に大きな影響を与えました。

現在でも《第九》は世界中で演奏され続けており、単なるベートーヴェンの代表作という枠を越えて、クラシック音楽そのものを象徴する作品のひとつとなっています。

シラーの詩から生まれた《歓喜の歌》

第4楽章で歌われる歌詞のもとになったのは、ドイツの詩人フリードリヒ・シラーが1785年に書いた詩《An die Freude(歓喜に寄せて)》です。

この詩では、喜びによって人々が結びつき、互いに兄弟となるという理想が歌われています。ベートーヴェンはシラーの詩に早くから強い関心を持っており、その世界を長い年月を経て交響曲第9番のフィナーレへと結実させました。

第4楽章は、いきなり有名な《歓喜の歌》から始まるわけではありません。激しい音楽のあと、それまでの楽章を思い起こさせる断片が次々と現れ、それらを低弦が退けるように進んだあと、ようやくチェロとコントラバスによって静かに《歓喜の歌》の主題が提示されます。

そのシンプルな旋律が少しずつ楽器を増やしながら大きく育っていき、やがてバリトン独唱、独唱者たち、そして合唱へと引き継がれていきます。非常に親しみやすいメロディでありながら、それが巨大な交響曲の中で少しずつ広がっていく構成こそ、《歓喜の歌》の大きな魅力です。

クラシック音楽を越えて親しまれる旋律

《歓喜の歌》の旋律は、現在ではクラシック音楽の世界だけにとどまりません。

1972年には、この旋律をもとにした音楽が欧州評議会の「欧州の歌(European Anthem)」として採用され、その後、現在の欧州連合(EU)にも引き継がれました。そこでは特定の言語に限定しないため、シラーの歌詞を付けず、旋律のみが使用されています。

もともとシラーの詩が描いていた、人々が喜びのもとに結びつくという理想とともに、この旋律は現在まで平和や連帯を象徴する音楽としても広く知られています。

ベートーヴェンが19世紀初頭に書いた旋律が、約200年を経た現在でも国や言語を越えて演奏され続けていることからも、《第九》と《歓喜の歌》が持つ特別な存在感を感じることができます。

このクラシックギター・アレンジについて

このクラシックギター・アレンジでは、《歓喜の歌》の有名な主題を使い、前半と後半で伴奏のスタイルを大きく変化させています。

前半は、コードの一番高い音に常にメロディを置く、非常にオーソドックスなコード・メロディのスタイルです。使用する和音も基本的な三和音を中心としているため、この部分だけであれば非常に取り組みやすく、クラシックギターを始めて間もない方でも演奏しやすいアレンジになっています。

後半ではメロディそのものは変えず、低音をウォーキングベース風に動かすアレンジへと変化します。

同じ《歓喜の歌》の旋律を繰り返しながらも、低音が動き始めることで音楽の雰囲気が一気に変わります。メロディと独立したベースラインを同時に意識する必要があるため、前半より少し難易度は上がりますが、1曲の中で二つの異なるアレンジスタイルを楽しめる構成となっています。

ワンポイント解説

メロディは常に一番前に聞かせる

前半は和音を中心としたシンプルなアレンジですが、演奏するときには和音の中のどの音がメロディなのかを常に意識することが大切です。

この部分では、基本的に各和音のトップノート、一番高い音が《歓喜の歌》のメロディになっています。

すべての弦を同じ強さで鳴らしてしまうと、低音や内声が前に出すぎて、肝心のメロディが和音の中に埋もれてしまいます。

和音をひとつの塊として鳴らすのではなく、一番高い音をメロディとして前へ飛ばし、その下に残りの音を伴奏として添えるようなイメージで演奏してみてください。

右手でもトップノートを弾く指を少し意識して強くし、その他の音を控えめにすると、シンプルなアレンジでも旋律がはっきりと浮かび上がります。

ウォーキングベースに気を取られすぎない

後半では、メロディを弾きながら低音がウォーキングベース風に動きます。

前半と比べると左手・右手ともに動きが増えるため、どうしても「次のベース音をどこで弾くか」ということに意識が向きやすくなります。

しかし、この部分でも主役はあくまで《歓喜の歌》のメロディです。

ベースを正確に弾くことを優先するあまり、メロディの音を本来より早く離してしまったり、メロディのフレーズが途中で切れてしまったりすると、伴奏のために主役を犠牲にすることになってしまいます。

まずはメロディだけを弾き、その音価やフレーズをしっかり確認してから、そこへベースラインを追加するように練習するのもおすすめです。

メロディとベースを二つの独立したラインとして考える

慣れてきたら、後半部分ではメロディとベースを別々の二つの声部として考えてみてください。

高音では《歓喜の歌》の旋律が自然に流れ、その下では別の低音ラインが独立して歩いている、というイメージです。

最初は両方を同時に意識するのが難しいかもしれませんが、それぞれを別々に練習してから組み合わせると、かなり整理しやすくなります。

メロディの流れを決して崩さず、その下でベースが自然に動いているように聞かせることが、このアレンジの後半をきれいに演奏するための一番のポイントです。

曲の基本情報

作曲者
L.v.ベートーヴェン
編曲者
Riku Fujita
難易度
Level-2 ★★☆☆☆
チューニング
Regular Tuning
目次