無伴奏チェロ組曲 第一番 プレリュード BWV1007
J.S.バッハ / Arr. Riku Fujita
動画
演奏+TAB付きスロー練習
楽譜
収録されている楽譜集
J.S.バッハ名曲集 Vol.1
J.S.バッハの名曲の中から10曲を選び、クラシックギター独奏用に編曲した曲集です。
楽譜は「五線譜+TAB譜」と「五線譜のみ」の2種類を収録しており、TAB譜を使って演奏したい方にも、普段は五線譜だけで演奏する方にも対応しています。
五線譜には左手の指番号やセーハ記号などを丁寧に記載し、クラシックギターの一般的な記譜に沿った、五線譜だけでも読みやすい楽譜を目指しています。
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クラシック名曲集 Vol.1
時代を超えて親しまれてきたクラシックの名曲13曲を、クラシックギター独奏用にアレンジした楽譜集です。
親しみやすい小品から弾きごたえのある作品まで、幅広いレベルのレパートリーを収録しています。
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この曲について
バッハが残した「6つの無伴奏チェロ組曲」
《無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調 BWV 1007》は、J.S.バッハが残した6つの無伴奏チェロ組曲 BWV 1007–1012の第1曲です。
6つの組曲は、バッハがケーテンで宮廷楽長を務めていた1717年から1723年頃に書かれたと考えられています。
それぞれの組曲は、自由な性格を持つプレリュードから始まり、その後にアルマンド、クーラント、サラバンドなどの舞曲が続く構成を基本としています。
現在では、チェロ奏者にとって最も重要なレパートリーのひとつとして位置づけられており、学習者から世界的な演奏家まで、非常に多くのチェリストが生涯を通して向き合う作品となっています。
なお、バッハ自身が書いた自筆譜は現在残っていません。作品は妻のアンナ・マグダレーナ・バッハによる筆写譜をはじめとする複数の資料を通して伝えられており、アーティキュレーションやフレージングについては、現在でもさまざまな解釈が行われています。
無伴奏チェロ組曲といえば、やはり第1番プレリュード
6つの無伴奏チェロ組曲の中でも、特に広く知られているのが第1番のプレリュードです。
冒頭から絶え間なく続く分散和音の音型は非常に印象的で、曲名を知らなくても、一度は耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
原曲はト長調。冒頭ではチェロの開放弦であるG、D、Aの響きが効果的に使われ、明るく豊かな共鳴の中から音楽が始まります。
一見すると、同じような音型が延々と続いているようにも見えます。しかし、その中では和声が絶えず変化し、低音の動きや音域の広がりによって少しずつ緊張感が高まり、終盤では大きなクライマックスへと向かっていきます。
単純な音型の連続から、壮大な音楽の流れを作り出していることが、このプレリュードの大きな魅力です。
チェロの音楽をギターで演奏するということ
無伴奏チェロ組曲は、もともと1本のチェロだけで演奏するための作品です。
チェロは基本的には旋律を一本の線として奏でる楽器ですが、バッハは分散和音、重音、音域の跳躍などを巧みに使い、実際には一音ずつ鳴っている場面でも、その背後に和音や複数の声部が感じられる音楽を書いています。
一方、クラシックギターは複数の弦を同時に鳴らし、低音、内声、旋律をそれぞれ残すことのできる楽器です。
そのためチェロの楽譜をギターへ移すと、原曲では一音ずつ示されていた和声の流れを、音を重ねたり響きを残したりすることでより明確に表現できる場合があります。
もちろん、チェロ特有の長く持続する弓の音や低音の厚みをそのまま再現することはできません。その一方で、バッハの音楽に隠れている和声や声部をギターならではの方法で浮かび上がらせることができる点が、ギター編曲の大きな魅力です。
このプレリュードは古くからギターにも編曲され、現在ではクラシックギターのレパートリーとしても広く演奏されています。
このクラシックギター・アレンジについて
原曲はト長調ですが、このクラシックギター・アレンジではニ長調へ移調しています。
また、6弦を通常のEからDへ1音下げるDrop Dチューニングを採用しています。
ギターではト長調のまま演奏するよりも、ニ長調とDrop Dを組み合わせることで低いDを開放弦として使用でき、原曲のチェロが持つ深い低音と豊かな響きを、ギターでもできるだけ感じられるようにしています。
曲の構成については省略や短縮を行わず、原曲と同じ流れをそのまま演奏するフルサイズのアレンジとなっています。
原曲の音型や和声進行を基本としながら、ギターで自然に響くように音の配置や運指を調整しています。
ワンポイント解説
音符の数に圧倒されず、大きなフレーズで考える
楽譜を見ると、冒頭から最後まで細かな音符がほとんど休みなく並んでいます。
そのため、一音一音を同じテンポ、同じ強さで正確に並べることだけに集中すると、演奏が機械的になってしまいやすい曲でもあります。
細かな音符の連続ではなく、大きなフレーズの流れとして音楽を捉えることを意識してみてください。
テンポについても、最初から最後まで完全に一定に保つことにこだわる必要はありません。
フレーズが上昇しながら緊張感を増していく部分ではわずかに前へ進むように弾き、反対に下降しながら落ち着いていく部分では少し時間を取るなど、不自然にならない範囲でテンポに呼吸を持たせると演奏しやすくなります。
極端なテンポの変化ではなく、音楽の方向に合わせて自然に伸び縮みさせる程度のルバートを取り入れ、自分がフレーズをきれいにコントロールできるテンポで演奏してみてください。
同じ音でも、開放弦ではなく押弦を指定している箇所があります
このアレンジでは、ギターの開放弦で簡単に演奏できる音であっても、あえて別の弦を押さえて演奏する運指を指定している箇所があります。
代表的なのが、EやBなどの音です。
このような運指を使っている理由は、大きく分けて「ポジションを維持すること」と「音色を揃えること」の2つです。
ポジションの中で運指を考える
例えば第2ポジションで演奏している場合、基本的には人差し指が2フレットを担当し、そこから中指、薬指、小指が3、4、5フレットを担当します。
この状態で1弦開放弦のEと同じ音が必要になった場合、2弦5フレットにも同じEが存在します。
開放弦を使えば押弦する必要がないため、一見するとそちらの方が簡単です。しかし、すでに第2ポジションに左手があるのであれば、2弦5フレットを使うことで左手のポジションを崩さず、そのまま次の音へ移ることができます。
一音ずつ「一番簡単に出せる場所」を探すのではなく、フレーズ全体をどのポジションで演奏しているのかという視点で運指を見ると、この指定の意味が分かりやすくなります。
音色を揃えるための押弦でもある
もうひとつの理由が音色の統一です。
同じ高さの音であっても、開放弦で鳴らした音と、別の弦を押さえて鳴らした音では音色が異なります。
開放弦は明るくよく響きますが、前後の音を押弦した弦で演奏している場合、そこだけ開放弦を使うと音色が急に変化して聞こえることがあります。
同じ弦や近い弦上でフレーズをまとめることで、音色の変化を抑え、ひとつながりの滑らかなラインとして聞かせやすくなります。
ただし、指定された押弦が難しく感じる場合は、無理に守る必要はありません。開放弦を使った方が演奏が安定するのであれば、そちらを選んでも構いません。
運指は絶対的なルールではなく、ポジション、音色、弾きやすさのバランスを考えて選ぶものとして捉えてください。
曲の基本情報
- 作曲者
- J.S.バッハ
- 編曲者
- Riku Fujita
- 難易度
- Level-4 ★★★★☆
- チューニング
- Drop D Tuning
